うつ病になっているか、うつ病になりそうな人に向けて書かれた本だと考えるべき

まず最初にこの本はどちらかというとすでにうつ病になっているか、
うつ病になりそうな人に向けて書かれた本だと考えるべきだと思う。

「隠された敵意」、
「十分に愛されたことがないがゆえに不特定多数のありとあらゆる人から愛されたい八方美人」などの記述は自分にも当てはまることが多くかなり参考になった。
あまりにも自分のケースに当てはまりすぎて読んでいてちょっと辛く感じたくらいだ。

しかし、
「世の中にはずるい人や平気で人をだますようなものも多くおり、
そんなやつはほっておけばよい」と断罪するかのような記述も多く見受けられる。
これは自分をコントロールすることができずうつ病などの病気につながってしまっている人にとっては大きな意味を持つ言葉であろうが、
そこまで行かないがもう少しいやなことはいやだと言えるようになりたいなーーー程度でこの本を読んでいる人にとっては少し不快感を覚えるかもしれない。
世の中にはいろんな人間がいるが、
うつ病になる人同様、
犯罪者になるような人間だってそれなりの理由があるだろうから、
今までの自分の培ってきた「どんな人間でも善になる可能性はある」という感覚をこの本ですっぱり否定されたような気になりそこは少し悲しかった。
この本ではうつ病になる人は素晴らしい心を持った人だと言っている。
これも重度のうつ病患者には効果はあるが、
そうでない人には違和感を覚える記述である。
またこの本では「神」などの記述も時々出てくるのできっと信仰心を持った著者なのであろう。

いずれにせよ、
この本に書いてあることをうのみにするのではなく、
賢い読者は自分のためになる記述のみを参考にすることが大事だと思った。
しかし重度のうつ病患者にはもしかしたらなかなかいい本なのではないかとも思った。