ERPの次のステップとして重要なAPSを徹底的に解説した決定版

SAPなどのERPシステムを需要予測、
生産計画から倉庫管理、
配送計画とフルに導入できている会社は少ないと思いますが、
この本はさらにすすんだAPS（Advanced Planning System）を解説した決定版ともいえるものです。
自社のSCMの成熟度はSCORを使って評価し、
十分なレベルに達したと判断できれば非常にチャレンジングではありますが、
是非APSは検討したい主要能力です。
日本ではAPSを解説した本は無いに等しいのでこの本はSCMに携わる人には是非おすすめしたいです。


APSのパッケージとして、
SAP APO, i2 Technology, People Softを特に詳しく、
そのアーキテクチャーから、
製薬や半導体への事例紹介も、
約１０年前のものながら、
含めて説明してくれています。


DellなどのオンラインB2Cのビジネスでは特に重要なATP（Available To Promise）もかなり詳細に解説してくれています。
SCMは在庫などの内部の問題解決も重要ですが、
売り上げ向上に直結するカスタマーサービスを上げることが一番重要で、
ATPは引き当て在庫がないときでも見込みの納期を伝えられるので非常に重要なケイパビリティをビジネスにもたらすものです。
この本では限られた在庫をカスタマー組織の階層構造に従って引き当てる仕組みを解説していますが、
このプロセスは同じ会社のなかでさえ、
国や事業部によって統一するのが非常に難しいものです。


MPSやDistribution Planningも非常に複雑なエリアで私の経験でも失敗したケースの方が多いくらいです。
この本でも紹介されているように、
同じ商品をキャパシティーに応じて生産工場をダイナミックに変えたり、
トラックのアベイラビリティや倉庫のキャパシティに応じて配送計画を変えてみたり、
制約条件のモデルが国やビジネスによって異なり、
スタンダードなシステムをグローバルに展開することが非常に困難な分野です。