気合いのこもったＣＳＲの良書

「ＣＳＲ経営」パーフェクトガイド　川村雅彦

ウィズワークス社　2015年2月刊　本体価格1800円

著者は2003年を「日本のＣＳＲ経営元年」と題するレポートを
所属するニッセイ基礎研究所から発表している。


本書を手に取ったときに、
「パーフェクトガイド」という副題が
いかにも気負ったものだなあと率直に言うと感じたが、
内容を
吟味してみると、
決して売らんかなの貧しい精神から
書いておられるのではないと納得できた。


もともと川村氏は、
環境経営、
環境監査を長らく専門として
して来られた研究者だ。


よくありがちな　「即席」研究者のやっつけ本ではないし、
このテーマの
解説書にありがちな、
共同執筆で、
網羅的だが、
魂がこもっていない
といった書物ではないことは、
ざっと読んだだけでも判る。


著者の力説する　「本来のＣＳＲ」とか、
「第一のＣＳＲ」、
「第二のＣＳＲ」
は、
長年このテーマに取り組んでこられたからこそ言えることだ。


「パーフェクト」　は決して宣伝用の修辞語ではないことが判る。


本書が想定している読者は、
直接的には企業のＣＳＲ担当者だと
はしがきに書いておられるが、
確かに、
レベルは相当高く

これだけの内容をきちんとフォローできる層は、
残念ながら多くは
ないだろうと想像するが、
評者のような企業外の研究者に
とっても、
この内容は刺激的で、
かつ有用である。


主張の部分が多い書ではあるが、
それだけ著者の長年の
真剣な取組みの集大成といったところであろう。


ぜひ、
チャレンジして幅広い層に読んでもらいたい本である。