切り口すべてがアメリカンな作品

ジュード・デヴローの新作、
ナンタケットの花嫁三部作の第一作目である本書は、
アメリカ東部沿岸に位置するナンタケット島を舞台に、
建築家・ジャレッドと建築家のたまご・アリックスのロマンス＆ダウニーフレークの美味しそうなドーナツ、

そして、
幽霊として登場するジャレッドの先祖・ケイレブ船長が最も愛した女性・ヴァレンティーナ失踪の謎と、
200年の恋が描かれた とてもアメリカンテイストな物語です。

ナンタケットの魔法にかかったような風情が、
現代でありながら、
懐古的な雰囲気を漂わせているので、
コンテンポラリーなのにコンテンでないような異空の世界観は独特で引き込まれます。

｢そんなバカな!?｣と思ってしまうような設定も、
｢そりゃあ、
そうでしょう。
だって、
ここはナンタケットなんですもの!!｣と、
受け入れてしまえる不思議な面白さが描けるのは、
あの素晴らしい作品｢時のかなたの恋人｣の作者であるジュード・デヴローなんですから当然ですよね、
頷けます。

読後は、
無性にドーナツが食べたくなると同時に、

まるで今作のテーマ曲であるかのように嵐の｢One Love｣を無意識に何度も繰り返し口ずさんでしまいました(笑)
　百年先も愛を誓うよ♪ 君は僕の全てさ　愛してる　ただ愛してる~♪
ああ、
早く二作目のトビーとグレイドン皇太子の話が読みたいです!!
二見文庫様、
引き続き刊行下さりますよう、
宜しくお願い致します。