従来の立場からの解釈も十分可能では・・・

障害児教育、
特に重度重複障害児の教育に脳神経学の知見を取り入れていこうという意欲的な取り組みについての報告である。


脳神経学の中でも脳画像の読み取りからその子どもの認知特性を読み取り、
指導に活かしていこうという試みが中心となっている。


個人的にはなかなかに面白いと感じるところもあるが、
どれほど効果があるのか疑問を感じる点も多かった。

まず、
行動観察を中心とする従来の手法に比べて特に大きな進歩があるようには思えないことである。
ｆ−MRIのようにリアルタイムに脳の働きを、
それももっと簡便に測定できるのならばまだ効果もあろうが、
静的な脳の構造を把握したところでどれほど実際の教育的指導に活かせるのか。


著者の実践も切り口が先端的ではあったが、
内容自体はこれまでの実践の積み重ねという範囲を超えるものでもない。
これまでの実践の厚みを超えるような手法が一朝一夕に開発されることはあり得ないのは百も承知だが、
著者の記述を大風呂敷を感じたのが実際のところである。


脳科学のさらなる発展に期待したい。