鉱物から宝石までの一通りのことが書かれている本。

　この本を鉱物の図鑑と見ると間違っている。
鉱物の図鑑としてなら、
別なものをお薦めする。


　この本の特徴として2点あげられる。

　一つは、
鉱物関連の本であるが、
宝石関連まで比較的わかりやすく説明されている。
鉱物と宝石の違いから始まり、
宝石のしくみの章や宝石の写真を示す章など、
宝石に比較的ページが割かれていて他の鉱物図鑑にはない特徴がある。

　次に挙げられるのは、
鉱物や宝石の写真だけでなく、
鉱物のしくみ、
性質、
宝石のしくみなどや、
鉱物や宝石の採集、
保管まで、
関連項目を網羅的に丁寧に書かれている。
鉱物や宝石にどんなものがあるかだけでなく、
どういう風にできるか、
どう保存するか、
どこで見られるかなど、
これから始める人には特に役に立ちそうなことばかりだ。


　エピソードも多くの鉱物について書かれており、
鉱物や宝石集めの人には、
非常に参考になるだろう。


　ただ欠点と言うべき所は、
鉱物の写真が一つのことが多いことである。
例えば、
藍鉄鉱では非常に結晶性のいい写真を示しており、
実際の鉱物ではそのようなものは多くない。
そのため結晶が別の結晶の形だった場合や集合体の場合は、
写真がやや小さめなものも多く、
自分の鉱物と比べたときに判別しにくいことである。
宝石を含めるために、
鉱物でも結晶性のいいものの写真を採用することになったのだろう。


　もう一つの欠点として、
鉱物宝石の図鑑の部分のページは、
ややごてごてしている感じである。
読みにくい、
写真が小さめで見にくい感じは否めない。


　概して、
この本は鉱物を集めようとする人か、
集め始めた初心者向け、
または宝石にも関心があるよという人向けの本と言えよう。
マニアになる前の人向けの本と言える。