単なる古典の漫画化ではない、作者の翻案のすばらしさ

望まぬ妊娠によって男のふりを貫くことが困難になり、
精神的に追い詰められていく沙羅。
そして弟の尚侍は、
女東宮への想いを自覚していく。

古典のとりかえばや物語を読んだときは、
内容のきわどさにぎょっとし、
やや不快感も感じたものですが、
同じ筋立てながら登場人物の細やかな感情描写を付け加えて翻案することで、
あくまでも美しくドラマチックに魅せてくれます。
とくに、
人間関係をひっかきまわす石蕗の中将が、
女たらしながらもなんだか可愛く憎めない男に見えるところが素晴らしいです。
女東宮と弟尚侍の雨宿りのシーンも色っぽく、
前巻まではあどけなく見えた東宮がまぎれもない大人の女性であることを感じさせる素晴らしい出来栄えでした。
続きも楽しみです。