「ウェブ型組織としての学校」に納得〜「一気読み」できる好著！

「学校は『なべぶた型』の組織である」とは，「否定的に」よく言われることである。
「否定的に」とは，管理職の意思が円滑に教員に伝わりにくく，学校としての活動がうまくいかないという意味であり，階層性を持つ組織に変えなければいけないと論じられることが多い。

　しかし，実際の現場で教育に携わる者としては「そうかな？」「行政組織のようにして教育活動がスムースに進行するのかな？」というのが実感であった。

　著者は言う。
「学校組織は『なべぶた』型というよりも，『ウェブ（クモの巣）』型に近い。
」「教育活動は，教師一人ひとりが自分の課題意識や価値基準に基づいて行う意思決定に依拠している。
」「そこで必要なことは，『上から下へ』でも『下から上へ』でもないコミュニケーション回路を開くことである。
」
　この論は，現場の実感に近いものであると納得した。

　組織としての学校が変わっていく過程も，具体的事例から丹念に書かれており，読み応えのある好著である。
久々に「一気読み」をしてしまいました。