暁人様はいつから私を好きと思ってくれたのだろう。

私はこの桂木の言葉に胸が一杯になりました。

初めて暁人の側に立ったと思ったからです。


５巻の終わりで直継が残した言葉に 「えっ、
桂木って直継の子供なの？！」と早計しそうになりましたが、
やはり桂木の出自には覆しがありそうですね。

( 高之と桂木が似ていると思った事もあります。
)
それに気づいた雨宮、
二人を応援する覚悟を決めた石崎の雨石コンビの立ち回りに加え、
感情面では西園寺が桂木を諭し、
訣別したように思います。
大変良いことを言ってくれました。
子を成した者の言葉には重みがあります。


桂木が今まで感じていた孤独とは「個独」でした。

だけど愛を知ってしまってからの孤独は意味が違うのです。

真に孤独な者は寂しさを感じないからです。

“ 好きです ” のひとことを言うのに４巻分も時間が掛かった男です、
その孤独感は予測がつかなかったものと思います。

桂木があそこまで家に固執してかたくなに孤独を演じてきたのは
“ 自分が何者なのか ” を知りたがっているからだ、
と暁人は思いやります。

だから、
“ ちゃんと最初からやり直さないといけないと思うんだ ”
・・・この言葉の主語を暁人はこれから探して行くのだと思います。

( 暁人もまた、
桂木と同等に寂しかったのです。
ここは見落としてはいけないところだと思います。
)

復讐劇で幕を開けたこの物語は愛憎劇を経て純愛劇に昇華されようとしています。


この作品をＢＬにとどめておくのは惜しいという声もありますが、
私は本当にこの作品がＢＬで良かったなと心の底から思うのです。


６巻は暁人の留学話が淡々と進んでいきますが、
その別れを惜しむようにノーフンのシーンが多かったです。

ファンサービスというより話の流れや二人の気持ちの変化として必要不可欠な量なのだと思います。


交わすキスもそれは甘く、
唇の感触すら伝わってきます。

誰もいない久世本邸でのキスに
“ 駄目です・・・” と言って余裕のない桂木を見ることができます ( ニヤリ ) 。