シャイニングとの再会

この小説は小説版「シャイニング」の続編である。
前作から30数年が過ぎた今になっての続編である。
前作はゴシックホラーを現代に蘇らせるならこうだ、
という情熱が、
ページというページ、
文という文に現れているかのように密度の濃い小説だった。
本作が前作と違うのは、
著者の関心がゴシックホラーがどうのこうのでなく、
トランスファミリーの物語を完結させることだったということだ。
ダニーはあの後、
どう生きたのか、
彼のシャイニングはどうなったのか、
読者である自分の好奇心は満たされた。
手練れのストーリーテリングに最後の行まで楽しませてもらった。
一方、
ゴシックの香りはここにはない。
現代の、
アメリカの物語だ。
そのことを承知して読むのがいい。
プロローグは前作の3年後から始まるが、
物語のほとんどは40代のダニー、
強力なシャイニングを持って生まれた少女アブラ、
そしてシャイニングを持つ子供のエネルギー（作中ではsteam）を貪り不死者として生きる者たちの集団が中心だ。
クライマックスの舞台はかつてオーバールックホテルのあった地。
前作を好きな人は楽しめると思う。
念のために書くと、
キューブリックの映画は前作の小説とは異なる。
映画は映画で一見の価値があるけれど、
小説の正編と続編はトランスファミリーの物語だ。