見た目はアナログ、頭脳はデジタル。AMは難アリ。

ぱっと見は二昔前に流行ったようなアナログ短波ラジオ。

その実、
処理はデジタル・・・？ 逆のパターンはよくあるのですが。


どうしてこんな変なものを作ったのだろうと考えて考えて・・・ハッと思い当たりました。

操作と表示部をアナログで仕立てれば、
液晶板やボタン類などの装備を極限まで省略できる。
究極的に安いDSPラジオができるじゃないか！・・・と。


デジタルチューニングにデジタルプロセッサを足したのが昨今のDSPラジオの主流だとしたら、
そこから（性能はそのままに）デジタル表示と操作だけを取り去ったのが本機です。

まさに引き算の発想というか・・・実に面白い。
そして実際に安い。


普通のアナログラジオならチューニング操作を行うと「徐々に放送波が聞こえ始めてノイズが晴れてハッキリになる」というプロセスがありますが、
本機では「ハッキリのベスト状態」を唐突にキャッチします。
そしてズレは発生しません。

何とも不思議な感覚ですが、
まぁ便利ですよね。


無難で飾り気のないデザインも好感触。
昨今のDEGEN製品は「カッコよさを追求しようとしたら一周回って結局ダサい」というラインが多いので・・・それもまた魅力ですけどね(^^ゞ

なお大きな難点もあります。

既に他のレビュアー様もご指摘されてますが、
本機はAM放送が10kHzステップ固定らしいんです。
アメリカ大陸仕様？なのかな。
実際に米アマゾンさんで取り扱いがあるようですし。

設定ボタンの類が一切ないので、
日本の9kHzステップには切り替え出来ないようです（あれこれ調べたのですが、
結局手段は見つかりませんでした）

要は「10kHzの倍数」の周波数にしか合わせることが出来ないので、
日本の殆んどの放送局に適合しないわけです。
例えばTBSラジオ954kHzを聞こうとしても、
一番近い所で950kHzか960kHzにズレズレでチューニングされちゃう。

全く使えない訳ではないですが、
およそ実用的ともいえません。
米国大陸で使うか、
日本国内ではFM/SW専用機として割り切るべきでしょう。