未来へのジャズを予感させる名盤

　意外に他のレビューの評価が辛いことに驚いた。

このアルバムに出会ったのはジャズを本格的に聞き始めて2年ほど経ってからだが、
その衝撃は今も忘れられない。

当時はやはりジャズの王道であるビ・バップを学ぶべき（学ばなければならない）と思っていたので、
必然的に過去の名盤を中心に聞いていたが、
「学ぶべき」と思っていただけで、
それほど心から感動したかなあと、
今思うと想う。


　そんな中で真に「かっこいいなあ」、
とか、
「これぞジャズだよな」と実感したのが、
本アルバムである。
この緊張感は鳥肌ものだ。
全編その豪華キャストが織り成す躍動感はリスナーを釘付けにするほど緊張感を強いられるが、
その感覚は聞き終わった後の疲労感ではなく、
充実感から解き放たれるような、
そんな感覚だ。


　特にこのアルバムですばらしいと思う点は、

・ジャック・ディジョネットのドラム：このドラムこそがまさに「ジャズドラム」。
典型的な４ビート「ライド」はなく、
他のプレイヤーに反応するためだけのドラム。
単調になりがちな「チーチキ」ジャズドラムとは一線を画し、
プレイヤー間の緊張感を増すのに重要な役割を担っている。


・ドン・アライアスのパーカッション：アルバムの中では見落としがちだが、
そのトーキングドラムの使い方など、
ツボをついている。


・ジョン・スコフィールドのギター：あー、
この人の「間の取り方」って、
本当独特で最高です。
こんな余裕をもってギターを弾ければと思う。


・ハービー・ハンコック：演奏がすばらしいのは言わずもがなだが、
むしろこのアルバムではアレンジに力を発揮したかも。

　
　という訳で、
このアルバム「new standard」とあるように、
ポップスなどのヒット曲をハンコック風にジャズアレンジした意欲作である。
なぜ「new