これでもかですが、まちがいなく良書です。

これでもかというほど、
さまざまな事例を挙げてモラルハラスメントの形態やその影響を教えて
くれます。
当事者が自分のこととして捉えやすいようにとの、
谷本さんの配慮なのだろうと思います。

当事者（クライエント）の立場にたって、
当事者に寄り添ってという谷本さんの姿勢が伺えます。

が、
前半はこのトーンで進むため、
読んでいて苦しくなってきます。


この本の真骨頂は、
7.モラハラから遠ざかるを序章として始まる、
8.子どもや周囲とのかかわり方
に続く　9.傷ついた心の再生に向けて　の3章です。


9.章 傷ついた心の再生に向けて　では、

回復の過程でのしんどさとして、
感じる心が戻ってきたときに感じる苦しさを、

モラハラというものについて知った時の、
モラハラを探求することにかけてしまう消耗について、

そして、
感じ続けてきた緊張感から解放されたことによる空虚感のあやうさについて、

応援してくれる人を求める時には、
自分で決めて行動してくれる人をさがすことのたいせつさを、

うつ状態や心理面からくるさまざまな症状に対処するでは、
医師、
カウンセラー、
弁護士との相性
とそれらの人たちを自分を補助する道具として使うことのたいせつさを、

説いてくれます。


最終節の自分の感情に気づいて乗り越えていくでは、
次のようなことがポイントになることを教えて
くれます。

　・境界を守ること
　・自分を尊重すること
　・人間関係を恐れないこと
　・怒りに支配されないこと
　・傷つけられることに過剰に反応しないこと

前半の事例や説明に圧倒されてしまうので★は４つにしますが、

カウンセラーとして、
モラハラの被害者にどのように対応したらよいかを教えてくれる良書です。