まあこんなものでしょ

あくまで小学生が日本史を通覧する程度のもの。
とにかく重要な出来事や人物を網羅する、
というのが第一で、
細かな繋がりもなにも無い。
それでも、
むしろ、
２０００年をよく１２巻でまとまたなぁ、
と、
編集に感心する。
学習マンガ、
と言うと、
いまだに１９６０年代の週刊誌以前の「漫画家」が画いたものが他社で出されていることを考えれば、
昨今の垢抜けたアニメ劇画風の絵で全巻が書き下ろしだし、
フルカラーだし、
解説も小学生レベルながら充実している。
第一巻がモースから始まるなど、
現代の子供を引き込む工夫も各所にある。


もっとも、
担当したマンガ家にムラがあり、
大人が見ても、
ほう、
と思うくらい迫力がある巻もあるが、
なんとなくコロコロ風の低学年向けのすっかすかした絵の巻もある。
せいぜい３人くらいで４巻ずつ担当してもよかったのではないか。
また、
別巻に人物事典として、
本編に出てきた人物、
それ以外の人物の見開き事典がついている。
本文の説明はよくまとまっているのだが、
そこについているイラストが古くさくて、
下手。
本編の人物の似ても似つかない。


つまり、
編集会議で各巻の担当を決めた後、
最終的に全体をまとめている総合的な編集者がいない。
そのせいで、
それぞれの巻がバラバラで、
せっかくこうして全巻をまとめて子供が通読しても、
一統の日本史にならない。
第一読者としての役割を編集会議の中心になって果たすだけの主導的な編集者がいない。
学研が「科学」と「学習」を止めるほど経営的にダメージを受けてしまい、
その後を引っ張っていく辣腕編集者が育っていないせいか。


このセット、
Ａｍａｚｏｎや卸には在庫が無いようだが、
学研の直販サイトにはまだ定価で改訂版のセットが残っている。
昨年、
おまけつきの特別セットが出たが、
それ以外なら、
べつに定価以上のプレミアム価格で買う必要は無い。