最大の功労艦の一つ

本艦の存在自体は以前から知っており、
その建艦経緯も何となく知っていました。
ただし、
これだけの隠れた功労者である事は、
本書に目を通して初めて知りました。
南太平洋海戦でホーネットを海底へと追いやったのは角田提督の勇猛さと本艦の運用能力が最大の原動力である事に疑念の余地は有りません。
煙突の構造といい、
エレベーターの設置方法といい、
後の造船ノウハウを育成したのも大きなポイント。
保用機の数こそ少ないですが、
全艦載機数はゆうに５０機を越える、
実質的に正規空母です。
某ネットゲームの影響で「軽」空母と表現される事が目に付きますが、
軽空母は千歳型などが該当し、
本艦には不適当だと思われます。
ゲームも良いですが、
戦艦大和や駆逐艦雪風ではなく、
こういった日陰扱いだった艦の活躍を、
もっと活字媒体で知られる様になれば本当に僥倖です。


戦争における本艦の活躍は目覚しいものです。
しかし、
東京オリンピックを控えてアメリカからの五輪観光客を乗せる為に造られた豪華客船が、
当のアメリカとの戦争で軍艦として投入されたのは皮肉としか表現できません。
坊之岬沖海戦に参加する予定が取り消しとなり、
終戦まで生き残った「正規」空母として、
そのアメリカに焼け野原にされた市街地の復興に数万トンの鉄鋼資材を提供したのは、
隼鷹にとって唯一の救いなのかもしれません。