宮沢賢治の名作を名版画で楽しむ

言わずと知れた、
宮沢賢治の名作です。


ストーリーや作中に出てくる会話にアレンジがなく、
原本そのままの言い回しで掲載されていますが、
子供も「どういう意味？」と聞きなおす事無くじっと聞いていてくれます。
どの絵本もそうなのですが、
子供に分かり易く、
馴染みやすくという作為が感じられる事がありますが、
この絵本はまっすぐ作者の意思が伝わってきます。


表紙もいいです。
素朴でモダンな西洋の小さな建物に、
猫の顔があります。
子供はこういうちょっと変わった絵が大好きです。
ずっと読み進んでいっても、
二人の紳士が美味しいものを食べたいばかりに、
変わった注文を善意に解釈して一生懸命こなしてゆく様が驚きとユーモアに彩られながらお話は進みます。


挿絵もまたシンプルでありながら表情豊かで、
ストーリーと挿絵の整合性があり、
お話と絵をそのままストレートに楽しめます。
挿絵を担当された佐藤国男さんは、
もともと大工さんだったようで、
大工業をされながら宮沢賢治の童話を題材にした版画を制作されたそう。
宮沢賢治限定の版画家なんて、
余程宮沢賢治が好きなんだなぁ。
挿絵の版画を見ていても、
よくこんな細かいところに気がつくと感心するくらい細部に拘ってみえます。
素晴らしいです。


最近の夜のお供率（ママぁ〜寝る前に一冊読んで〜）は、
現在５割くらいの打率です。
表紙裏の山猫クイズも可愛くて、
お話を読む前は必ず謎解きから始まります。
毎回同じ問題で、
いい加減答えもわかっているはずなのに、
解いては得意そうに「当たり」という娘が可愛くて。
大人も楽しめる宮沢賢治本です。