読まなければ良かった。

読んでいると、
余りの正直さにどきっとさせられる。
その正直さというのは、
ぶっちゃけて言うと、
という類いの乱暴さのことではなく、
こう言うしかない、
という不器用さだ。
不倫の話とか、
家族の話とか、
人間関係の話とか、
言わなくてもいいような話も多い。
一読者としては、
読んでいて嫌になるような書き方がされているわけではないけれど、
当事者にしてみれば、
嫌だろうなとは思う。
嘘とまでは言わなくても、
触れない方が良いことには触れない。
そういうことで世の中は回っている。
こういう正直な人が身近な人でなくて、
本当に良かった。


ジャックスや早川さんの音楽を毎日のように聴いていたことなどないし、
10年に1度くらいは聞き直すかもしれないけれど、
1年に1回聴くかと言われると、
自信がない。
ライブも1度しか見たことがない。
でも、
忘れたわけではないし、
忘れないと思う。
この本も、
読み返すかどうかわからないけれど、
古本屋に処分する気にはなれない。


なにが「ロック」か？なんて話をする気はないけれど、
そういう意味では、
この人はやっぱり「詩」とか「文学」なんだなと思う。
自分にとっては「音楽」ではない。
スティービー・ワンダーなら、
うん十年聴いても飽きないし、
ラジオや街角で流れてきても素直に嬉しい。
そういうものが自分にとっては大切な音楽だと思うので、
彼を同じカテゴリーと見做すのには違和感がある。
でも、
1度聴いてしまうと忘れられないし、
1度読んでしまうと忘れられない。
そういう傷をつけられる。


年を取ると、
こういう人に素直に手放しで感動したくない。
年を取っても純粋であるというのは、
何かが欠落していて、
別な面では無神経だということでもあるからだ。
それなりに資産あるから、
こういう生き方できるんだなあ、
と正直思ったり。


まあ、
こんな正直な事言っている方もなんだけれどｗ。