競争しないって・・・いい。

社内外での競争にやや疲れ気味な身に染みるタイトルに魅かれて購入。
ニッチ戦略、
不協和戦略、
協調戦略の3つの戦略について、
豊富な事例を元に、
明快に説明している。
それぞれの戦略に対する感想を記載すると、


1. ニッチ戦略
単にニッチ市場を狙うことと思ったら大間違い。
ニッチを10のカテゴリーに分け網羅的に紹介している。
ここまで網羅的に紹介されている本は読んだことが無い。
意図してニッチを狙うということがどういうことかが、
よく理解できる。
拡大一辺倒の社長の傍にそっと置いておくべき戦略。


2. 不協和戦略
本内容は著者の「逆転の競争戦略」に詳しい。
何故、
ライフネット生命などの新規参入者が、
大手の追撃を受けずに済んでいるのかが、
独自のフレームワークとともに明快に説明されている。
これが出来たらさぞ爽快であろう。
リーダー企業以外の全ての企業が学ぶべき、
庶民に勇気を与えてくれる戦略である。


3. 協調戦略
これこそが、
今回筆者の最も伝えたかったであろう戦略。
切り口は新しく、
むしろ「競争しようがない戦略」と言うべき戦略。
自社の機能を提供し、
既存の大手企業のバリューチェーンに潜り込むという、
「裏技」が露わに記載されている。
既存の機能を活用するため、
リスクは少なく大手企業の新規事業を考える際にはうってつけと言える。


昨今の柔らかめのビジネス書とくらべると、
全体的な語り口がやや真面目すぎ？の感もあるが、
筆者の丁寧なリサーチの積み上げが、
読んでいても伝わってくる。
日々の競争にクタクタというビジネスパーソンには、
是非読んでもらいたい一冊。
停止していた思考が動き出すきっかけを与えてくれるはず。