人間のへそとは叡知のことか
 ヒイキになった魚屋に買い物に行く。
めずらしく魚屋の主人が口を開き、
ご近所のかたですか、
とたずねる。
いえ、
麻布の永坂町からです、
と答える。
「それは、
わざわざ・・永坂町には女優の高峰秀子さんが住んでいられますよね」「私、
その高峰です。
高峰秀子のなれの果てです」。

 このとっさの切り返しのジョークがすばらしい。
ちなみに彼女は運転手つきの車で行くのだが、
魚屋の店先に車を横づけにするようなお客ではないからと、
店の手前10メートルほどの場所に車を停め、
ぶらぶらと歩いていくのだという。

 このエッセイはここで終わりではない。
魚屋に買い物にいったとき、
和服の女の人に呼び止められ、
ファンだといわれる。
その人はベビー・カーに「天使か妖精か」というような愛らしい男の子を乗せている。
2年後に、
またこの魚屋の手前でその2人に出会う。
ベビー・カーは小児用の車椅子のようなものになっている。
子供というより少年といってもいい顔立ちの男の子が、
毛糸のチロル帽をかぶっている。
そして、
その3年後にも、
そこで銀色の車椅子に出会う・・・。
母親と思われる女性は、
高峰秀子と会ったことを喜んでくれるが、
この親子とはこれ以上顔を合わせないほうがいいと決心する。
そして、
魚屋に買い物にいく時間を変える。
このエッセイの題名は「午前10時30分」。

 彼女はいう。
車椅子に乗っている理由を聞いてみても、
少年の年齢を知ったとしても、
私にはなにかしてあげられる筈もない。
「いつかまた、
あの母子に会うことがあったら、
私はなにか余計なことを言ってしまいそうで、
こわい気がする」。
この潔癖さ。
このときの彼女の甘ずっぱくて苦い思いこそ、
人間のオヘソにつながっている。
しかし彼女のこの態度を誤解する人や、
それとはまったく正反対の態度をとる人も、
世の中には多いはずだ。
ぶっきらぼうのようでいてぬくもりのある文章には、
人生の叡知がつまっている。
にんげんのおへそ (文春文庫)

その他の感想

体験結果は良好です
quite nice
オリゼー好きでなければ…
機関車などの1速のプラレールを速くするにはこのモーターがいい
全く効果なし
ゲーム性が高い。
気持ちいいっ
Meh Clay Mask
裁縫に使っています。使い勝手は5つ星です。
USBケーブルの短さが惜しい
機能的でデザインも良い
冬にぴったりの一冊。
IDOLの生い立ちを探る
分かりにくいレビュー、「切って使っています。」
ストレス皆無
CP、GOOD!はきやすいし、デザインも素敵
まだ、今時ギター使ってんの?
安全性が高いが、味が薄い。
買い増ししました。
妊婦の不安解消
新タイプ、エプソンプリンターインク
The Piri Reis Map of 1513 conspicuously missing
GH4にて4K録画に使用中
効果大!
金メッキ端子、OFCケーブル、日本製
あっという間に終わりました。
ナニコレ…
イタリア語を学ぶのは若い女性ばかりとは限らない。
ゆめくい
加圧??
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