読みやすく読みごたえがある一冊

この本は、
哲学の歴史を追うスタイルを取っていながら、
単なる知識の羅列にとどまっていない新書版哲学入門として、
必読です。

また、
年を重ねてからこれまでの人生や自分自身の価値観をふりかえるためにも、
とても有意な本であると思います。

哲学史の中から読み取られた様々なモチーフが、
哲学の歴史を描きながらより合わされ、
大きな思考のうねりをつくっています。
哲学史を描くことによって「哲学すること」になっているようです。

新書一冊の分量で哲学のエッセンスをこれだけ凝縮して書かれているので、
ざっとも読めるし、
しっかりとも読める内容でした。
全体的に読みやすくて、
これまでのこの著者の著作同様読者フレンドリーな文章でありつつ、
哲学の奥深さも見せる内容になっていました。

わたしはヘーゲルの「相互承認」が好きでしたが、
この本を読んでアリストテレスが好きになりました。