カーサアマーレプロジェクトの紹介とわりきって手に取りましょう

　この本の内容は、
前半が、
日本の家の美しさを伊勢神宮と桂離宮などを例にとって説明したもので、
写真がとてもきれいです。
後半は、
カーサアマーレという日本の家づくりのプロジェクトの宣伝です。
私は、
写真の美しさとタイトルに惹かれて本書を手にとったのですが、
先に書かれている方と同様の感想で、
内容は期待していた方向とは違いました。
その原因は、
本の前半では、
日本の家の美しさの源を屋根と障子と縁側などの性質によって説明しているのですが、
後半でその要素が全て、
カーサアマーレプロジェクトの宣伝に使われてしまっていることです。
それがわかると、
逆に、
日本の家についてもっと知るべきことがあるのではないか、
と前半部に対しても疑問符がついた気持ちになってしまいます。


　日本の家をその美しさとともに、
今の技術で新たに造っていこうという志には、
とても共感するのですが、
本として考えると、
このように前半の内容がそっくり後半の宣伝へと導いている構成が少々残念です。
タイトルが「100年経ても美しい・・・」という、
普遍的な内容の印象を与えるものであることも大きいと思います。
逆に、
たとえば、
本書のタイトルが「家つくりのカーサアマーレプロジェクト」とか「日本の家とカーサアマーレプロジェクト」とかだったら、
この構成で納得できますし、
このプロジェクトのことを知りたい方にはうってつけの本と言えます。


　この本の執筆者たちならば、
日本の家の美しさをわかりやすく解き明かして、
主張を展開しながらも、
宣伝に収束してしまわない内容の本を書くことができるのではないでしょうか。