充実した内容で読みやすい

本書を通して、
「著者が留学で学んだこと」という視点が貫かれている。
ゆえに、
項目ごとで完結するように書かれていながら、
全体の統合度が高く、
「論理のすり替え」のようなものがない。
日本的な物事の進め方を否定してオックスフォードのやり方を押し付けるのではなく、
「世界で競争できる」人材を輩出するオックスフォードの良さを日常で実践するという姿勢で書かれており、
素直に受け止めることができる。

　また、
分かりやすい文章の書き方やプレゼンテーションの仕方のように、
ビジネスパーソン以外の様々な職業で共通して求められるスキルのことも書かれている。
さらに、
（著者が意図したかは分からないが）教育心理学、
社会心理学の知見をもとにしていると思われる説明が随所にある。
啓発書としての読みやすさを保ちながら、
他の類書にはない奥深さも兼ね備えている。

　ごく一部だが、
説明が分かりにくい箇所がある。
必要に応じて文章以外の方法（図や箇条書き）で表現したり、
校正を厳重に行ったりすることで、
読みやすさが一層増すと思われる。