ロックがたどりついた多様性の極地

レッド・ツェッペリンは唯一無比の存在でした。
彼らの残した足跡は、
あまりに巨大。
ロックの地平線を拡大し、
前進を続けて行きました。


核はむろんジミー・ペイジ。
その音楽的バックグラウンドの広さ、
情念と知性とのコントロール、
誰も聞いたことのない音響のプロデュース力は傑出していました。
ブルースをベースにしたハード・ロックに、
ジャズ、
フォーク、
ファンクを次々取り入れ、
しまいには中近東まで行ってしまう。
ツェッペリンは、
ほかのメタル・バンドが束になってもかなわない「ふところの深さ」を持っていました。


フィジカル・グラフィティは、
それまでの試行錯誤が身を結び、
新しい次元に入った大作です。
ビルボード首位6週間。
売り上げ、
なんと1,500万枚以上。


ファンキーそのものの「カスタード・パイ」で幕をあけ、
「トランプルド・アンダーフット」で進軍！。
「カシミール」では、
雄大なエスニック世界が広がります。
「ナイト・フライト」の愛すべきポップ性を経て、
最後は、
聴き手をなぎ倒すハード・ロック「シックアゲイン」で幕を閉じる。
ファンクとハード・ロックの融合がここに確立します。


ジミー・ペイジも、
「あえて選べば」ということで、
本作を最も満足いく作品として上げていました。


これこそが「ロックがたどりついた多様性の極地」だと思います。