内容充実の第2版

出版業界に精通しているわけではないので筆者の推測だが、
この手の医学書で、
初版の発売からわずか2年で第2版が出るというのは珍しいのではないだろうか。
第１版の評判がよかったこともあるが、
SGLT２阻害薬など近年発売になった治療薬の紹介もされており、
著者らのフットワークのよさが要因だろう。


新たに加えられた項目では、
第２章「手術前後での血糖コントロール」、
第３章「妊娠と糖尿病」などは、
外科医や産科医にとって座右に置きたいありがたい参考書であろう。

また同じく第３章の「高齢者と糖尿病」には、
著者らの常々の主張である、
‘高齢者では潜在的なものも含めて低血糖を防ぐことが最大のポイント’と明確に記されている。
外来で多くの高齢者をみるクリニックの医師にとって、
年齢別のHbA1cなどわかりやすい基準がしめされている。


とくに感心したのは、
第４章の「糖尿病と感染症」で、
‘糖尿病の易感染性’などと雑駁にまとめずに、
尿路感染の対処はこう、
足感染の対処はどうときわめて具体的だ。
抗生剤の使い方などすぐにでも参考にしたい。


第一線の臨床で活躍する専門医らによる、
内容充実のハンドブックである。