I.N.A.とスタッフに感謝を込めて

「奇跡の新曲」と冠された幻の未発表音源が
満を持してリリースされた

ボーカルトラックのみを残して1998年に録音されていたバックトラック音源に生前の音源からボーカル部分のみを抽出してパッチワークのように紡ぎ上げ
足りない部分にはYAMAHAの最新技術VOCALOIDを採用し、
彼の親友にして片腕でもあったI.N.A.による
気の遠くなるような編集作業を経てhideがこの世に生を受けて
50年目の記念すべき年についに日の目を見たという
文字通り「血と汗と涙の結晶」というべき１曲に代表曲15曲を詰め込んだ
渾身のベストアルバムだと思う

「VOCALOIDによる再現音声」という予備知識から正直言って期待値はかなり低かった。
「初音ミク」や「がくっぽいど（GACKTの声を使用したVOCALOID）」に毛が生えた程度だろうと高を括っていたのだが
第一声が耳に入った瞬間に鳥肌が立つ思いだった
ここまでリアルに再現する技術革新とI.N.A.を始めとするスタッフ達の気が遠くなるような緻密な修正作業と執念（「情念」と言ってもいいかもしれない）に震えたのだ

もちろん全く違和感を感じないといったら嘘になるだろう
「こんなのhideじゃない」というのは簡単だ。

しかし「商業作品を作る」というものはどこかで「最高の妥協点を見つける作業」でもある
誰よりも納得がいってないのはI.N.A.自身でありスタッフの方々だろう
だがそれは「あまりにも本物ソックリであるが故に逆に際立ってしまったほんの髪の毛１本ほどの相違点」なのだ。

今後、
技術は更に進化していくことによって全く本人と区別のつかない音声が簡単に作れる時がくるかもしれない
それでもこの１曲に込められたスタッフ全員のhideへの万感の思いを評価したい。