両親と家族とのつながりや人生の覚悟について考えさせられる本

本書は、
戦中〜戦後の兵庫県淡路島での著者自身の経験を題材にしており、
純文学的文章で、
両親や家族とのつながりと
人生の覚悟について考えさせられる一冊です。


モデルとなった父、
深沢武吉は、
生涯を巡査で終えています。
（辞令上は、
死後、
巡査部長に昇格となり、
生前でも部長になろう
と思えばなれていた）
武吉はまじめなで不器用ですが、
息子である主人公（私）やその家族や周囲の人間には、
言うべきことは言うという人物です。

終戦の日の夜に俳句を作ろうと言いだしたり、
自分より二回りも若い東大法学部卒の青年が署長（上司）として赴任してきたりと、

ストーリーは流れます。


印象に残った部分を抜き出してみると；
１．「戦争の時代、
人間という人間の全てが、
仮面をかぶっていた」
２．「自由があった。
しかし、
その分、
行儀が悪くなった」
３．「きれいに生きたいは亭主の夢、
飢えさせんのは妻の知恵」

父の訃報を聞いた後の場面での、
主人公の妻が「お義父さんの声を覚えていますか」と聞く場面があります。

みなさんは、
両親の声（肉声）を覚えていますか？

読後、
以前、
大学時代の恩師に、
「恋愛は燃焼、
結婚は計画、
人生は覚悟」と教えられたことを思い出した。