「たんぽぽ娘」あります。

ご存知『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズに登場し、
重要な役割を演ずる書目たちが、
あるものは全編、
あるものは抜粋の形で、
一堂に会する珠玉のアンソロジー。
抜粋箇所については賛否もあろうが、
まずは同シリーズの世界がますます拡がる愉しい一冊です。
（こういう売り方もあるのか、
というマーケッティング手法にも感嘆。
往年の「カドカワ商法」は健在であった？！）

ちなみに、
収録作品は以下のとおりです。

「それから」夏目漱石
「ジュリアとバズーカ」アンナ・カヴァン
「落穂拾い」小山清
「サンクチュアリ」ウィリアム・フォークナー
「せどり男爵数奇譚」梶山季之
「晩年」太宰治
「クラクラ日記」坂口三千代
「蔦葛木曽棧」国枝史郎
「ふたり物語」アーシュラ・Ｋ・ル・グイン
「たんぽぽ娘」ロバート・Ｆ・ヤング
「フローテ公園の殺人」Ｆ・Ｗ・クロフツ
「春と修羅」宮沢賢治

収録作中、
やはり白眉は「たんぽぽ娘」でしょう。
入手が困難であったので、
気になって気になって仕方がなかった作品でした。
ようやく読めて感激。
深い余韻を誘う、
噂（？）どおりの佳品です（訳は創元推理文庫版より）。


私見に過ぎませんが、
「たんぽぽ娘」がこの値段で読めることを考えただけでも、
お値打ちの一冊かと思います。