エッセイ集。

この作者の四冊目の本ですが、
前三冊と違って、
平均して20-25ページほどの短めの文章を集めたものです。
ニューヨーカーに以前発表された作品の中から適当なものを選んで少し手を加えたものです。
題材としては中国に関するもが大半ですが、
日本のヤクザに関するものが一つ、
ネパールに関するものが一つ、
そして彼が住んでいたアメリカのコロラド州の田舎に関するものが数編はいっています。
単に興味深い読み切り作品を集めただけのもので、
テーマの一貫性みたいなものは余り感じませんでした。
前作のCountry Driving: A Chinese Road Tripと同じような口調で書かれており、
さくさく読めます。


著者は既に中国を離れてしばらく時間も経過しているので（アメリカに住んだ後、
現在はエジプトのカイロに在住中）、
本書の大部分を占める中国に関するエッセーは、
すべて９０年代後半から２０００年代にかけての見聞やインタビューに基づくもので、
情報としては数年以上古くなっていますが、
ピーター・へスラーの他の作品が好きな人なら読んでみる価値はあるはずです。
前三冊と内容がかぶっていたり、
場合によっては文章もほぼ同じである箇所も一部にありましたが、
個人的にはそれが気になることもなく、
むしろ懐かしく楽しく読めました。
もちろん、
前作を読まずのこの本だけを読んでも全く問題はありません。