現役の医師から見た「死」の先にあるもの

　以前、
この題名を新聞紙上で見て気になっていた本でした。
死を題材にしたオカルト的なものかと危惧していたのですが読み進めてみるとまったくそうではありません。
現役の医師が死について書いた本で筆者は実に誠実で真面目、
医師である前にごく普通の考えと常識を持った人間とわかり意外でした。
妙に宗教的、
超上目線でもなく謂わば普通の人の視点で死に接しています。
数多い死から学び取った人の死に対する一考察といえます。
超常現象、
幻覚と揶揄されそうな話が出てはきますが否定や拒否といった姿勢で向かうのではなく、
素直にあるがままに認める点で医者として異質性を感じました。
体験的な死の先への考察本です。

　個人的な話ですが昨年60歳を迎え万が一を考え健康ではありますが身辺整理を始めました。
壁一杯だった学生の時からの本棚も整理。
段ボール箱13箱分を処分。
遺言書も書き退職金や財産明細、
暗証番号も家族に明確に。
やってみると気持ちの清々とするものです。
大震災は続くだろうし人はいつかは死ぬ。
そんな時に読んだこの本はタイミングもよく改めて死生観、
いや生き方観を問うものでした。
人は死なない、
つまりは人は死ぬ、
の逆説的問いかけでした。