極めて魅力的な一遍の生涯を足跡から克明にたどる

一遍の遊行の足跡を追いながら、
その思想を解説してくれる。
一遍は臨終の際、
その所持品をすべて焼き捨ててしまったためか、
ほとんど一遍自身の著作等はないので、
死後書かれた「聖絵」などから、
その生涯と思想を、
足跡を辿りながら、
推理していく構成になっている。
歌舞伎もその起源は、
念仏踊りにあるそうだから、
日本の大衆文化に与えた影響は大きく、
宗教的な関心を別にしても、
その人物像は魅力的だ。
意外に感じたのは、
一遍は行く先々で、
八幡宮などの神社をその逗留地にした点で、
「八幡は阿弥陀仏が本地垂迹した化身である」という考えによるものだそうだ。
反面、
法然にゆかりの地を訪れた形跡はあまりなく、
一遍は法然をどう思っていたのであろうか。
親鸞のことも知らなかったのだううか。