幼い王様の、小さくて大きな成長のお話

まだ６歳の小さな王様の歯が、
ある日ぐらぐらして抜けました。

お母様に教えられ、
王様は丁寧な手紙と一緒に、
抜けた歯を枕の下に入れて眠ります。


歯を取りに来たのは、
礼儀正しくて上品なねずみのペレス（本文中ではカタカナではなく、
「ぺれす」と太字のひらがなになっているのが可愛らしいですよ）。


王様はペレスの魔法（？）で小さなねずみに姿を変え、
一緒に一晩の冒険をするのです。


ビスケットの空き缶の中にある暖かそうなペレスのおうち、
彼の仲の良い家族の愛らしさ。
おそろしい猫にみつからないようにそばを駆け抜ける時のハラハラ感！
そして何よりも、
ペレスに付いて行った先の貧しい男の子とお母さんの様子を見て涙をこぼす、
小さな王様の優しさ。

「じぶんの国の子どもたちが、
ひとりのこらず　あたたかいねどこで　ねむれるようになるまでは、
じぶんもあたたかいねどこで　ねてはいけないと、
おうさまはおもいました」。
この純粋で温かい心に、
胸を打たれます。

元の姿に戻り、
なぜぼくだけ王様なの？なぜ、
ぼくは欲しい物が何でも買えるのに、
あの子どもたちは何も持っていないの？こう問いかける王様への、
お母様の答えも慈愛に満ちていて素敵です。


「岩波の子どもの本」シリーズの絵本は、
良い本が多くて大好きです。

ただ一つ・・・このシリーズに限った事ではありませんが、
絵本裏表紙のバーコードは頂けません。
福音館のようにシールにするとか、
何とかならないものでしょうか？せっかくの可愛い装丁が台無しだと、
バーコードが印刷された絵本を見る度に残念な気持ちになります。