すんなりインド古典を楽しめる

　岩波文庫版の「バガバッド・ギーター」を読み終わった翌日に、
通勤電車に乗ると、
向こう側の座席で黄色い表紙の本を読んでいる女性が目に留まった。

　どうも、
彼女の手にする本の背表紙にはバガヴァドギーターと書いてあるようだ。
岩波文庫本の「バガバッド・ギーター」は、
内容は面白かったが、
なにしろ登場人物や神々の名前がどれも舌を噛みそうな上、
同じ人物、
同じ神が複数の名前を名乗って登場してくるという複雑さが、
インド初心者やインド文化を知らざる者は、
読んでも、
その神話の入り口の扉をなで回す程度ですよと言っているみたいだったが、
私は、
それを苦戦しつつ読んだのだ。

　それを電車内で、
週刊誌でも読む仕草でその女性がバガヴァッドギーターを読み進んでいるので、
失礼も顧みず、
どんな本ですか？と質問した。
彼女は，嫌な顔もせず、
解り易いですよ。
代々木でヨガ教室を開いている向井田みおさんという方が書いた本です。
アマゾンに注文すれば簡単に手に入りますと教えてくれた。

　「やさしく学ぶYOGA哲学 バガヴァッドギーター」をすぐ注文、
すぐ届いた。
すぐ読んで、
その解り易さに私は感謝した。
そこには、
インド滞在経験のある著者が、
現地でYOGAの先生から学んだ知識の詳細を散りばめつつ，日本人に解り易く噛み砕いて記しているという親切心にあふれた本になっている。
もちろん、
様々に変化する神々の名前の由来や意味がインド文化についての知識とYOGA実践の立場から書き進められているため、
この上なく気軽に心地よく神話の世界に浸れる。

　予備知識が無くてもインドの古典を楽しめるようになっていて、
よその国の文化をすんなり理解出来るようになっている。