『イスラム国』の成立から現状とアメリカを中心とする国際情勢.

本書の趣旨はタイトル通り、
昨今の国際情勢、
殊に「中東」で取り沙汰されている『イスラム国』の成立経緯、
内部実態、
周辺国の対応、
「イスラム」世界の宗派間対立、
アメリカ（オバマ）の「中東」に対する外交姿勢と“イラク撤退”の影響、
ロシアやイランの思惑、
シリアの「内 戦」情況と『イスラム国』の関係性、
「イスラム 教」の教義・社会性と「原 理 主 義」と「過 激 派」など、
歴史的・社会横断的に緻密な考察・分析を実証的に展開しており、
読み応えのある内容となっている。
「中東」の「イスラム」世界における「宗派間対立」と人口・民族構成など、
特にシリア「内 戦」と『イスラム国』の関係性及び周辺国の思惑（利害関係）など、
単なる宗派の相違（対立）に留まらない複雑でなかなか把握しにくい現実面があり、
本書でもこの情況を判りやすく解説することに腐心しているように思われる。
このページの上の「商品の説明」には、
「『イスラム国』とは一体何者なのか……彼らはいついかなる経緯で誕生したのか。
その組織は？ 資金は？ 指導者は？……彼らの目的は何なのか？」を説き明かすことを趣旨として、
「狂 気 の 残 虐 集団の真実の姿を伝える」一冊と言えるだろう。
かかる点では、
先行書として『「イスラム国」の正体 Wedgeセレクション No.37』があり、
宗派間対立や周辺国の思惑、
アメリカの「中東」政策の変遷と影響など、
重複するトピックも見受けられるが、
本書は『イスラム国』の分析を中心とした体系的解説であることが特徴である。


本書の構成・内容については、
同前「商品の説明」及び「なか見！検索」機能等に譲り本稿では特に取り上げない。
個人的に特に興味を惹いたトピックとしては、
まずその宗教的信条や行動様式の「過 激」さ等から、
イラク政府の「正 規 軍」が圧倒的な装備と人員を抱えながら『イスラム国』の“襲 撃”に「敗 走」した事実である（第３章）。
これについて著者は「イラク政 府 軍」の「士 気」、
『イスラム国』の「捕