音楽で物語るシルクロード交流の歴史

　ＮＨＫが放送80周年記念企画として製作するＮＨＫスペシャル「新シルクロード」のサントラ。
音楽監督を務めるのは、
これまでにも「オブリガート・ブラジル」や「リベルタンゴ」などを弾いてクラシックにとらわれない活動を続けてきたヨーヨー・マ。
その彼が率いるのは、
チェロ・バイオリン・ハープなど西洋の楽器に、
日本の尺八や中国の琵琶、
インドのタブラなど様々な民族楽器が加わった、
不思議な響きを持つシルクロード・アンサンブルだ。
ちなみに、
このような民族楽器は、
シルクロードに限らずアフリカなども含めた世界各地から集められている。
その中で特に異国情緒を感じさせるのは打楽器だが、
これが普段耳慣れないリズムを刻むことで、
全体が統合されているような印象を受ける。

　収録曲はシルクロードの風景にぴったりの壮大なスケールの曲だけでなく、
都市の活気や、
そこに生きる人びとが継承してきた歴史や文化がこと細かに読み取れるような曲まで幅広い。
こうした曲は、
すべてシルクロード各地から集められた民謡やメンバーが持ち寄った旋律をもとに作曲されているという。
それをシルクロード・アンサンブルが演奏すると響きの面白さだけでなく強い一体感が感じられるから不思議だ。
まさにシルクロードで繰り広げられた東西折衷の歴史を、
音楽で物語っている。