格好の解説書、ニーチェという、ラディカル極まりない思想家のことがよく分かる本です。

「超訳ニーチェ」（ディスカヴァー）を読んで、
初めてニーチェに惹かれた方、
あるいはニーチェを学生時分に少しかじったけど、
また気になりだして読みたくなってきた、
と言う方に最適の（再）入門書です。


ニーチェのアフォリズム集も面白いですが、
やはり一連の著作を読んで味わってみることを切におすすめします。


本書はニーチェへの単なるオマージュや礼賛書ではなく、
ニーチェ哲学出立当時の社会状況、
彼の思想遍歴（ニーチェは世界や歴史をどう見たのか）、
またポストモダンの時代になって、
なぜニーチェが持ち上げられてきたのか、
ニーチェ思想のアブナイ、
グレーな部分（なぜニーチェはファシズムに利用されたのか）にも触れられており、
大変興味深いものです。
重要な点は、
何度も繰り返し述べられているのも、
読者には親切だし、
著者の力の入れようをまざまざと感じます。


初心者の方はとりあえず、
本書をとっかかりに、
ニーチェの名著に触れてみるとよいでしょう。
ニーチェという思想家の書物は、
いきなり読むと、
「なんでや」ということの連続で非常に読み解きにくい（特に昔の出版物は翻訳が読みにくい！）ので、
このような、
先達によるフレームワーク（足場）は読書ガイドとして、
かなり助かります。


著者も言ってますが、
ニーチェという思想家は、
読めば読むほど、
深い思想家というよりも、
「徹底的な思想家」です。
私も今回いいおやじになって読みなおしましたが、
愕然としました。
いつまでも読める思想家ではないと思います。
ニーチェとまた出会えた自分を幸せに感じました。