濃密な文学作品を堪能

　この作者の作品は初めてです。
それなのに本書と『ミラノの太陽、
シチリアの月』２冊を同時に
アマゾンに注文、
ささやかな大ばくちでした。
それが大当たり、
宝くじに当たったよりうれしい。

イタリア10景のどれもが短編とはいえ濃密な文学作品で甲乙つけがたい。
作者の内的世界が豊穣で
なければ生み出されない世界です。
あえて挙げれば「犬の身代金」これは愛犬家の端くれとして
楽しんで、
かつ共感しながら読みました。
もう一つ「初めてで最後のコーヒー」もしんみりとした
味わいでした。
イタリア語をまるで母語のように使いこなしイタリア人の社会に抵抗なく溶け込める
作者の能力に敬服しました。
その能力なくしてこの名作は生まれえないと思います。
今年一番の収穫！