「悪役」と言う観点でもエポックメイキング

各国からサイボーグ戦士のプロトタイプとして、
９人の人間が集められる、
舞台設定はユニークかつ秀逸だが、
もうひとつ注目しておきたいのが、
「悪役」の設定だ。


「戦争を商売のタネとする武器商人達、
それに融資する銀行家達」と言う存在。

その彼らに、
サイボーグを始めとした新しい兵器や戦争の形を提供しようとするブラックゴーストと言う存在。

戦争を「市場」と捉え、
その需給から来る利益を得ようとする者たち──資本主義的経済原則にのっとった組み立てであり、
それまでありがちだった「悪い宇宙人が攻めて来る」的な子供向きの単純な発想ではない。

ブラックゴーストのボスが武器商人達に「新しい戦争」を提案するシーンがあるが、
今風に言えばまさに「ネットミーティングでのプレゼン」なのだ。

今ならきっとPowerPointを使っていることだろう(笑)。


そう言った非常にロジカルに出来た悪役の図式も、
この作品の魅力のひとつだろう。

現在でも通用する──と言うより、
現在の世の中の方がよりリアリティを感じてしまう。

それだけ石森に先見の明があった、
と言うことか。


もっとも、
石森の中でも初期の作品にあたるため、
石森作品群トータルで見ると、
まだ稚拙な部分も散見される。

この後、
飛躍的に漫画家として成長していくことになるからだ。