イタリア年代記と同系列の初期短編物、スペイン娘の激しい情熱

イタリア年代記と同系列の、
初期の短編物です。


グラナダ警察署長のドン･ブラスは残忍さそのものが顔に出ていて、

たまたま巡回中、
美男のドン･フェルナンドのいいなずけで絶世の
美女イネスに一目ぼれし投獄中のフェルナンドを逃がし、
親への
持参金付きで結婚しろと言い寄ります。
しぶしぶ結婚して2年後、

イネスは、
山賊に襲われそうな妹のサンチャの洋服入り箱を城に
預かる約束をする。
イネスが忘れられないフェルナンドは、
死ぬ前
に人目会いたいと、
箱の中に隠れて城内のイネスの部屋に運ばれる
事に成功します。
イネスとの一時の抱擁に溺れますが、
ドンプラス
は疑念を抱いたので、
見つかる前に城から箱を下僕に運んでもらう。

しかし、
逆さなので、
途中つい声を出してしまい、
墓場の近くの為、

下僕は亡霊と勘違いして、
一目散に逃げ出します。
これが箱と亡霊
のタイトル由来です。
最後は、
下僕が白状し、
陰謀が暴かれてイネス
は尼僧院に逃げるが殺害され、
フェルナンドも逮捕され処刑されます。


短編として、
起承転結でよくまとまっています。