独習に向いているという点でトップクラス

　大学生用の初等力学の教科書です。
400ページという分厚さから察せられるとおり、
一言でまとめれば「気合の入った本」です。


　ページ数は膨大ですが、
難しい内容を扱っているからというよりは、
全体的に図の分量が多い＆説明が丁寧であることに拠ります。
日常的な現象とからめたり、
わかりやすく図示したりと、
さまざまな手段で丹念に説明されています。

　また、
「垂直抗力はどう生じているのか？」「摩擦等で失われたエネルギーはどこにいったのか？」といった類書ではあまり詳しい説明のない点についても触れられており、
興味深く読めます。


　例題や演習問題も非常に豊富で、
すべて解答付きです(一部の解答はWeb上)。
よくある標準的な問題のほか、
「エレベーターが落ちた時、
地面にぶつかる直前でジャンプすれば助かるか？」といった日常的な現象を題材にしたユニークな問題も多くあります。


　最後にいくつか注意点を。

・「静力学→動力学」という説明順であり、
運動方程式が登場するのが遅い
・人によっては説明がくどく感じられるかも(特に数学が苦手でない場合)

　説明が親切・演習問題(解答付)が豊富であり、
さらにWeb上のサポートページには正誤表・サポート掲示板などが揃っているので、
特に独習用にはありがたい本だと思います。