学生時代にこういう本に出会いたかった・・
シュライエルマッハーやバルトらの超難解なはずの神学が、
「近代人の宗教」としてのナショナリズムの危険性と直結した形で
スッキリ理解できた気分になってしまう(少なくとも基本だけは)あたりに、
いつもながら著者の知識人としてのレベルの高さを感じた。
また本書には、
「本物の学問をやるための実力をつけるには」を懇切丁寧に説いた、
一種の教養入門書としての記述が今まで以上に多く含まれている。
・ギリシャ神話は国際基準での教養の大前提。
本を読む時は広辞苑や百科事典を傍らに置くべき。
おすすめは平凡社の有料サイト「ネットで百科」。
(pp.39-40)
・大学卒業程度の学力を持った人間が読んでおくべき本は、
文系理系問わず、
少なめに見積もって150冊ぐらいあり、
『職業としての学問』『相対性理論』『方法序説』
『想像の共同体』『民族とナショナリズム』などがそれにあたる。
(pp.63-64。
このへんは立花隆との対談集『ぼくらの頭脳の鍛え方』とも共通。
)
・外国語には、
学問をやるための言語と実務言語の2通りあり、
前者は現代語だったら仏独英の3つ。
中国語などは本来実務言語であり、
リベラル・アーツ(教養課程)の勉強につながらないので、
単位を出すべきでない。
(p.89)
・神学はなくても信仰は成立するが、
高等教育を受け、
「天にいる神」をもはや素朴に信じることができなくなった我々には、
神学が必須。
神学的な操作を経ない限り、
我々は古代の世界像を持っているキリスト教を信じることはできない。
(p.101)
・常識として考えられている「批判」のような言葉の意味を、
少しずつ厳密に詰めていくことはたいへん重要。
批判のやり方がわからないと、
相手の内在的論理をうまく捉え要約した上で、
論理整合性の崩れを衝くこともできない。
(pp.122-123)
正直、
学生時代にこういう本に出会っていたら…と思わずにはいられなかったが、
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やや簡単。
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