南北朝末期から隋統一まで

　良くも悪くも歴史に名を残した煬帝であるが、
その生涯を余すところなく扱った小説というと意外に少ないのではないか。

　南北朝末期の北朝に生を受けた優秀な少年から筆は起こされる。
普通の意味での英雄譚ではないが、
作家や史家としての力量が問われるところだ。

　やや日本人にはなじみのない時代背景であるが、
工夫がなされており、
読み進めるのに支障はない。
やや描写が淡々とし過ぎという印象もある(好き嫌いはあるかも)。
唐代や日本の飛鳥朝に興味がある方でも、
新たな理解や視野が得られるだろう。