紙質と特性を生かしきれる

作品として残すものや展示用の写真は、
多様な Art Paper の銘柄から Velvet Fine Art Paper を選択しています。
エプソンには他のグレードの Art Paper があり、
他社にも様々な銘柄がありますが、
プリンター PX-5V とのマッチングがプロファイルとして用意されているので印刷に関する試行錯誤がかなり軽減される点と、
後述する特性から常用する印画紙となりました。
Velvet Fine Art Paper はエプソンの Art Paper の中でもっとも高コントラス、
高発色の傾向を持っていて非常に使い勝手がよい製品です。


一般論として Art Paper の印刷特性は写真専用紙とかなり異なります。
現像ソフトや画像調整ソフトが描画するモニター上の見え方と印刷結果が違う点は注意すべきでしょう。

顕著なのはハイライトのキレとシャドーの締まりと諧調で、
明らかに別物です。
カラーでは発色、
モノクロでは知覚される黒のテイストも違い、
一般の写真専用紙のような感覚では使えません。
透過光で見ているモニターの像と、
マットで柔らかなテクスチャーを持つ紙の上に印刷されたものを反射光で見る違いです。


大切なのは使用しているモニターを適切に調整すること、
次にVelvet Fine Art Paperの印刷プロファイルを適用して印刷することです。
写真専用紙、
特に光沢紙との表現の違いは実際に使用し自らつかむほかありませんが、
現像時の色とプリンタに渡すデータが統合できれば失敗は防げます。
ただし、
印刷したての段階と定着・乾燥が進んだ数時間後の違いが、
写真専用紙以上に大きいので注意してください。

したがって、
プリンタから出てきたばかりの状態を見てソフト上でデータを調整するのは混乱のもとになりかねません。
かならず一時間以上、
積み重ねずに乾燥させてください。
理想的には（慣れないうちは）半日から一日置くくらいの余裕がほしいところです。

また、
完全乾燥前も乾燥後も印刷面に不用意に触れると、
こすり傷が発生します。
私の失敗例ですが、
乾燥時に小さなほこりが付着し、
ブローしても取れないためティッシュで軽く撫で取ろうとしてプリントを一枚無駄にしました。


Art Paper