単純な内容。豊富な具体例。

この本の主張を一言で要約すると「チェックリストがミスを減らす上で有用である」。


著者は外科医なので医学関係の例が多い。
しかし意外にも、
飛行機の操縦、
建築、
料理など様々な分野でもチェックリストが有用であることが豊富な具体例とともに示されている。
これらは複雑な手順を要する職業であるだけに、
ミスが起こりやすい。
言い換えれば、
複雑なステップを踏まなくてはならないあらゆる局面においてチェックリストは有用であると言えそうだ。


私にとってはp120の以下の記述も参考になった。


Bad checklists are vague and imprecise. They are too long; they are hard to use; they are impractical. (中略)　Good checklists, on the other hand, are precise. They are efficient, to the point.

要するに、
チェックリストを作るときのコツは、
あまり長すぎるものや、
実用的でないものにしてはならないということだ。
私は複雑なチェックリストを作ったことがあるが、
面倒くさくて続かなかった。
その経験があるので、
これは良いアドバイスだと感じた。


具体例に割かれるページ数がやたら多いのが本書の特徴だ。
良く言えば分かりやすいが、
悪く言えば密度がやや薄い。
欧米読者には、
このくらいのほうがウケるのだろうか(本書はベストセラーになった)。