このくらいは

このくらくいは、
天下の和田誠センセェなら軽いものか？　と、
軽々しく言ってはいけない。
「本｣をテーマのひとコマ漫画が１ページにひとつずつあるのだが、
モノによっては読者を選ぶかもしれない。
中年の西洋男性が街角に立って花を売ろうとしている横で、
若い女性が座って本を読んでいる。
その本の題名が英語で「ピグマリオン｣と読めるところで、
これは「マイ・フェア・レディ」のパロディだと気づく人なら面白いだろう。
ただ、
そのことがこの本の価値を低めてしまうことは、
ないとおもうな。
絵画にしても宗達の高名な絵からボッティチェリのビーナスまで、
とにかくみんなが本に夢中になっている。
ここからわかることは同好の士ならこの人を楽しませることにかけては稀代の人の、
書物に対する並外れた愛の深さではないだろうか。

ぼくは、
この本でもうならされ、
ニヤニヤと作品群の細部に楽しみを見つめました。