あまりにも壮大。期待を上回る傑作。

LAビートミュージック・シーンの最重要人物、
Flying LotusことSteven Ellisonによる5thアルバム。

参加しているのは、
盟友Thundercat、
ボーカルのNiki Randaといったいつものメンバーに加え、
Captain Murphy(=Elinson自身)、
元Dirty ProjectorsのAngel Deradoorian、
フリージャズ系のサクソフォニストKamasi Washington、
Mars VoltaのドラマーDeantoni Parks。

そしてHerbie Hancock、
Snoop Dogg、
Kendrick Lamarという信じられないような大物までもが一同に会し、

果てにはクレジットはされていないもののEarl SweatshirtやFKA Twgisもちょっとした協力をしてくれたそうです。

その結果、
非常に抽象的なフュージョン路線、
MastodonやSlayerに影響されたという暴力的なエレクトロニック・ジャズ路線、
"Duality"系統のヒップホップ路線、
そしていつも通りのFlyLo路線など、
様々な曲が入り交じった、
実に奇怪な楽曲群となりました。


本作のテーマは死について。
歳をとるにつれて、
両親や、
叔母である偉大なジャズ・ミュージシャンAlice Coltrane、
敬愛するJ Dilla、
DJ Rashadら、
身近な人びとを次々と亡くしたEllison。

しかし、
「北斗の拳」を引用したタイトルや、
不条理な暴力や死をシニカルに描いた駕籠真太郎による各曲のアートワーク（公式Tumblrでも見れます）、

Kendrick Lamarの高速ラップに合わせ、
棺桶から起き上がった子供が楽しげに踊り狂う"Never Catch Me"のPV（Hiro Muraiの最高傑作だと思います）等が指し示すように、

Ellisonは時には滑稽なほどポジティブなイメージで死を捉えようとしました。
楽曲にもその姿勢は如実に現れています。


特にそれが顕著なのは、
7曲目"Dead Man’s Tetris"で死後の世界の視点からリスナーに語りかけるSnoop Doggのラップ。