救いはなく、あるのは、冷酷な現実だけ

本書は、
『闇金ウシジマくん』をまねた
ストーリー仕立ての構成になっている。


しかし、
ストーリーのラストは、

『ウシジマくん』のような、
わかりやすい救いはない。


「なんだかな~」という、

やりきれない気持ちだけが、
胸に残る。


これが、
フィクションの世界と現実世界との
大きな違いなんだ、
と感じた。


また、
闇金業者と、
闇金から金を借りる人は、

今の日本の貧しさの象徴に思えた。


“相手が金になるか、
ならないか”という損得勘定だけで、

付き合いをするかどうかを決める、
闇金業者。


何十年も、
この日本で生活してきながらも、

その闇金業者しか、
頼れる相手がいない人たち。


金の有る無しで、
人のつながりが決まる。


モノがどれだけ溢れていても、

人のつながりがますます貧しくなっている
現在の日本の貧しさを象徴している。


闇金の世界においては、

「金貸しの立場にも、
金を借りる立場にもなりたくない」
そう、
心底思った一冊であった。