暮らしの中にある社会心理学

本書は表紙で損をしているように思う。
人間は同じ人種に共感しやすいことも社会心理学の実験が示してはいなかっただろうか。
目次の次の見開きにある楽しいイラストを表紙に使っていたらと思う。
本レビューのタイトルはそのイラストから拝借した。
我々が日常の中でする行動や態度の「なぜ」を実験から科学的に説明するのが社会心理学である。
監修者の山岸俊夫氏が「はじめに」に書いているように「社会心理学は誰にでもとってもとっつきやすい学問」なのだ。


なぜあの訪問販売員から買ってしまったのだろう。
なぜあのラーメン屋を美味そうと思ったのだろう。
なぜ多数に同調するのだろう。
なぜ権威に服従するのだろう。
なぜ普段考えているのと違う行動をするのだろう。
暴力的な映像は子供にどんな影響を与えるだろうか。
期待された子供の成績は向上するだろうか。
それらの疑問に実験や観察から科学的に回答しようとするのが社会心理学である。
本書ははじめに歴史上重要な十六の社会心理学実験を紹介し、
以降でその実験や他の実験から得られた理論を用い日常の事象の説明を行なう。
各項目は二ページまたは四ページにまとめられ多色刷りで図解されている。
読みやすい本だが要点は抑えられている。
多くの人に勧められる良い入門書と思う。