読んでこころが温かくなりました

本作品も４巻目になりましたが、
持ち味のよさは色あせることがありません。
主人公のマルタさんをはじめとして仲間の女の子たちのあふれそうなチャーミングさ、
時宜をはずさぬ季節感、
紹介される食べ物のなんともおいしそうなこと、
そして程よくさりげなく織り込まれた文学的センス、
一話６ページというスペースにいろいろな楽しい要素がみっちりと詰まっていて、
飽きることがありません。


特に今回は本作品でおそらく初めての二話連作と思われるお地蔵さんにまつわるお話がユーモアたっぷり、
お話の末尾に記さているレシピに思わず笑ってしまいました。
そして「鱈」と題されたお話、
ストーリーのもっていき方がスマートというか粋というかなんとも心憎いばかりです。
もちろんほかのお話も、
それぞれに楽しくてどれも素敵なお話ではずれがないのもこの作品の魅力のひとつといえるでしょう。


私事を書いて恐縮ですが、
実はこの作品を読む前、
仕事とプライベートの両面でトラブルを抱えていて多少心が荒んでいました。
でもこの作品を読んで、
心が温かくなってささくれ立っていた気持ちが和んでいくのを自分でも実感しました。
ちょうどこのタイミングで本巻を読んでよかった、
少しは落ち着きを取り戻すことができたと思いました。
この作品ってそんな風に感じさせてくれる作品です。


そして、
ラストのお話は次巻に続くまたもや連作、
この人ってもしかしてと思う大物新キャラの登場です。
この新キャラが加わって作品がますますパワーアップしそうな予感がします。
また新しい楽しみがひとつ増えました。
次巻の発売はまだしばらく先かと思いますが、
どんな展開になっていくのか、
今から期待感十分です。


P.S.家族が本書で紹介されていた「しらす丼」をレシピに沿って作ってみました。
期待以上のおいしさにびっくりしました。
そういう点では本書は実用的見地からも有用ですね。