第一部はオランダ絵画を見ている様でとても個性的、第二部は素晴らしい

2011年アムステルダムでのライブ収録版。
第一部では、
スケートのシーンや街並み、
室内装飾など随所にオランダらしさが表れている。
オランダ絵画を見ている様。
聖ニコラウスも召使のループレヒトとプレゼントを持って一緒に登場する。
その分、
ドロッセルマイヤーの存在感が薄い。
概して第一部の演出は子供が中心で、
演出家の意図も理解できなくはないが、
個人的には？が付く。
特に、
雪の精の踊りはもう少し盛り上がりや工夫がほしい。
ツリーが伸びるシーンもないのが残念。
ボリショイの、
特にモハメドフとアルヒーポワのくるみ割りと比べると、
第一部の演出不足は否めない。
一方、
第二部はかなり良くできており、
色彩豊かで個性的な場面が多く評価できる。
中国の踊りは京劇の孫悟空を思わせるかわいらしい演出で、
ボリショイを超えている。
アラビアの踊りも個性的、
フランスの踊りはギリシャの踊りになっており、
女神のブルーの帯が印象的だ。
花のワルツは踊り自体に派手さはないが色彩感豊かな舞台で高評価。
グランパドゥドゥはかなりのレベルで、
第二部全体を通じたシックな色調、
ライティングの舞台で白い衣装の二人が浮かび上がっている。
全体を通じてカメラワークにもう少し工夫がほしい。
アップは良いが、
ワイドでステージ全体をカバーすると、
迫力に欠ける画面になっている。
総合評価をつければ、
第一部は★★★、
第二部は★★★★。
ボりショイの演出に飽きてちょっと変わったくるみ割りを見たい人にはいいのではないか。