声と音の複製技術の果てに人類が手に入れたのものとは。
 すでに生まれたときから、
声と音の複製技術に取り囲まれ、
本来、
声や地域の雑踏の音が果たしていた役割を体感することはほとんどありません。
また、
永井荷風がどれほど往来に声に憧れ、
「武満は、
音は消え去るものである」と言っても、
誰でも身近に安価な代償で手に入れられる「現代の音響技術の発達と環境化は、
われわれの感覚世界を、
音のこうした本質を忘れさせていく方向に押しやっている」のが事実だとしても、
それを便利とこそ感じても、
不便で不快と感じる人はもはや多くはありません。

 永井荷風からヒトラーへとつらなるラジオによる聴衆の創出の歴史をたどりながら、
ラジオや蓄音機、
電話と言った、
声や音の複製技術の発明と普及が、
本来、
声や音が創りだしていた地域社会の人のつながりを如何に解体し、
消費社会という新しい集権的な結びつきを生みだし、
時代の政治情勢に取り込まれていったかが、
やや乱暴ながらもダイナミックに伝わってきます。
かつて声や音に託された、
唯一にしてオリジナルな聖性は、
簡単に操作し、
編集することができる複製技術の大衆化によって、
もはや元に戻せないほどにはがれおちてしまったのでしょうか。

 取り替えや再生産のできるラジオや電話の声などの電気信号は、
いまやヒトラーの時代の受動的な聴衆を創り出す役割を越えて、
地域に根をはらない遠い世界との連携を生みだし、
今度は「個人」が新たな発信者となる手段としてのツールとして、
今までにないネットワーク、
疑似共同体の絆となっていくのでしょうか。

 たとえどんなに完璧な複製技術が登場し、
我々を均質化する働きをもったとしても、
その組み合わせやアレンジの妙を駆使して画一化を逃れ、
やはり人類はその存続のために、
かけがえのない絆を作り続ける逞しさを持ち続けるにちがいないと祈りたくなった本でした。
「声」の資本主義 ---電話・ラジオ・蓄音機の社会史 (河出文庫)

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